前回の記事に書きましたが、「布施」とは、

「慈悲の心をもって、他人に財物などを施すこと」

そして、布施をした人は、その布施の使い道を「あ～だの、こ～だの」言ってはなりません。

つまりは執着（しゅうちゃく）をしてはいけないと説きます。

では参考までに、ここでひとつのお話しを・・・


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お釈迦さまには、たくさんのお弟子がおられましたが、

そのお弟子の中に「舎利弗（しゃりほつ）」という方がおられました。

この舎利弗さん、智慧（ちえ）第一と言われるほど、とても優秀な方でした。

お釈迦さまも、仏教教団の後継者とさえ考えられたお方です。

その舎利弗さんが、お布施の修行をされていた時、道ばたで一人の、乞食（こつじき）に会います。

乞食は、舎利弗さんに会うなり、

「あんたは、何でも施（ほどこ）されるというが、それは本当かい？」

舎利弗さんは、ほほ笑みながら

「はい、私の持っている物なら何でも施しますよ」

すると乞食は、

「では、あなたの澄んだ目を頂きたいのだが！」

驚いた舎利弗さん

「この目は、私の顔についていてはじめて役に立つものです。
あなたが、それを受け取っても何の意味もありません。
それなのに、どうしてそんなものを欲しがるのですか？」

乞食はすかさず、

「布施とは、何のこだわりもなく、自分の持ち物を人に与えるものだと聞いておるのだが・・・
それなのに、あなたは、布施をするのにいちいち理由を尋ねるのか？」

ハッと気付いた舎利弗さん、目に執着（しゅうちゃく）を持っていた自分を戒（いさ）め、

思い切って眼球に指を入れ、目を取り出しました。

乞食は、目を受け取るとクンクンと嗅ぎだし

「臭いなぁ～！こんな目玉持っていても仕方がないな」

と事もあろうに、唾を吐き捨てて、足で踏み潰してしまったのです！

それを見た舎利弗さん、怒り心頭

こんな乞食は救う事なんてできない！と菩薩の道をあきらめてしまいました。

しかしやがて、お釈迦さまが説かれた『法華経』の教えに導かれ、

再び菩薩の道を歩まれたのです。

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この舎利弗のたとえ話は『大智度論』というお経の注釈書に出てきますが、

布施というのは、執着をなくすということが大事であると、私たちに問いかけているのです。

怒ってしまったことが悪いというのではなく、施した物に執着したのがいけないかったのです。

いかに自分の眼球であっても、あげてしまったのなら、

それがどうされようとも気にしてはいけないのですね・・・。

布施とは奥深いものです。次回も布施について書きたいと思います♪


　　　　　　　　　　　　　　日蓮宗　了光山護国寺　～山科檀林旧跡～